人間ドックで飲まされるバリウムにおけるリスク
胃バリウム検査におけるリスクを考えます。
人間ドックで使用される硫酸バリウムは、X線を吸収する作用があります。
胃のレントゲン検査
内視鏡による胃がん検査よりも手軽に出来るとして、胃のレントゲン検査を選択される方が多いのではないでしょうか。
しかし簡単に見えるレントゲン検査にも、リスクがあります。
英国オックスフォード大学グループによる調査では、75歳までにガンを発症する方で放射線診断が誘発する割合が日本では3.2パーセントと、15カ国中1番高いとされます。
人間ドックでCTの被爆量は10から20mSyですが、胃バリウム検査では意外に被爆量が高いのです。
直接撮影と間接撮影
直接撮影(大きなフィルムで撮影する方法)では15から25mSy、間接撮影(検診車による小さなフィルムで撮影する方法)では20から30mSyになります。
胸部X線の被爆量が0.1mSyなので、なんと150倍から300倍の被爆リスクがあります。
健康な方が毎年CT検査を受けることは少ないでしょうが、胃がんの検査でレントゲン検査を毎年受けられる方は圧倒的に多いのです。
レントゲン線は遺伝子の本体であるDNAを傷付けてしまいます。
傷ついたDNAが原因としてガン化するには、1回の被爆量50から200mSyといわれます。
1回のレントゲン検査ですぐにガンになることはありませんが、毎年バリウム検査を受けることでDNAがゆっくりと傷つきガンとなる可能性は0パーセントではありません。
レントゲン検査では二次元フィルムで表現
さらに解剖学上は胃は三次元で袋の形をしていますが、人間ドックでのレントゲン検査では二次元フィルムで表現されるため前後壁のバリウムが重なって病変が見つけ難いリスクを孕んでいます。
また食道は垂直に液が流れ落ちてしまうため、撮影のタイミングが難しく微小病変などを見逃してしまい勝ちです。
食道の微小病変を見つけるためには、角度を変えて何度も撮影する必要が出てきます。
この撮影で被爆量も増えてしまい、かといって小さなガンが見つかる可能性が高まる訳でもありません。
レントゲンでは技師が撮影を担当し、病変を見つける読影するのは医師となっています。
透視したレントゲン技師が病変を見つけることが出来、タイミングを見計らって写真としてフィルム上に撮影するためにも、理想は撮影も読影も医師がすることです。
残念ながら読影の医師が見落としてしまうことが高いのです。
そして胃がんにも隆起・潰瘍・平坦型があり、バリウム検査でわかるのは隆起と潰瘍型に限られます。
人間ドックを受けるとき、これらのリスクを考慮して検査の選択をしてください。